おまけ
「もしもし?」
「あー…俺、山陽」
「……っ!」
「東海道のことなんだがー…」
「…東海道上官が何か?」
「ぃや、その…そんなすごまれるような事ではなく…あいつ、最近休んでないみたいなんだ。」
「はぃ!?」
そう、いつもなら特に気にも止めないことなのに、今回は何故だか宇都宮に連絡を入れてみようと
思い立ち、東海道(Jr)に連絡して、わざわざ宇都宮の携帯番号を調べたのだ。
東海道は常に高速鉄道のプライドを持っている分、見えない所での努力も半端ないことも知っている。
だからこそ、無理をしている時は自分ではなく、一番側に居て欲しいやつが居れば少しは休息ができると考えたのだ。
電話の向こう…宇都宮の反応は思った通りではあったが、在来が上官室へと行くのは抵抗があり、もしかしたら会いに行かないかも知れない。
それでは折角自分がした行動は無意味に終わってしまう。
東海道に確認を取ろうと踵を返し、部屋へと足を向ける。
廊下と上官室へ続く階段が交差する踊り場に差し掛かった時、窓際で携帯をただ眺めている男がいた。
「よぉ!東海道!」
今まさに確認したかった相手が眉間にしわを寄せてこちらを見据えた。
自分でもお人好しすぎるなと思いながらもついつい…
「なぁ〜九州」
白いスラックスを履いたカエルの人形を抱いている山陽に背を向けている九州は相変わらず愛想がない。
むしろあったら怖いとさえ思う。
「なんだ?」
「…俺、今日は良い事をしたかも。」
「何の話だ?」
「たまにはお人好しもいいもんだって話」
突然、よくわからない話をする山陽の方に近寄った九州は右手で山陽の頭をポンッと軽く叩いた。
「お前が良いと思うならそれはそれでいい事なんだろ。」
普段、子供扱いをされると怒るが、それでもこの手は山陽にとってはとても暖かい手だった。
おまけ