ただ管理人がサクランボが食べたいってことで思いついた話なのでしたw
「在来」と「高速鉄道」
そう頻繁に会うこともなければ、偶然を待たないと会うことがないのは誰もがわかること。
たまには“バッタリ”なんてことが起きないだろうか?
そもそも上野で偶然に会ったとしても、それは望んでいる人ではない。
頻繁にふらふらするわけではないが、時間がある時は散歩と言う名の散策をする為にホームをうろつくことがある。
そんな時にありもしないことが頭を過ってばかりだ。
まさか自分がこんな考えをするなんて思ってもいなかっただけに小さなため息が漏れる。
「ため息は幸せが逃げるって言うぞ」
後ろから声を掛けられ、振り返ると偶然にも居合わせた高崎だった。
丁度、出歩いている場所は大宮。
高崎に会う可能性は十分にある。
「なんだ、高崎か〜」
わざと少し残念がってみるものの、偶然と言うのは誰に会っても少し嬉しい気分になる。
「こっちも前を歩いてるのが、寂しそうな背中の宇都宮でビックリしたよ。」
「悪かったな。そう露骨に嫌な顔しないでよ」
「ははっ……ところで今から昼?」
「あぁ、もうそんな時間か」
袖口をまくり、腕時計を見ると針が丁度12時を指していた。
「エキュートでも行く?」
「いや…今日はいいや…」
いつも何か企んでそうな雰囲気の宇都宮とは違い、今日はもの静かで、逆に怖い。
そんなことは絶対に本人には言えないと自覚している高崎はその原因が何か、なんとなくわかるだけに
何も言い返す言葉が出て来なかった。
高崎とのお昼を断わり、仕事につく。
お腹が減ってなかったわけではないが、気が乗らないだけなのだ。
高崎とは偶然が多い。
勿論それは乗り入れの関係で、高崎だけではなく、他にもいろいろある。
山形上官や秋田上官など、上官たちにも偶然がある。
ただ、会えばからかわれている気がしてならない。
どうせならその“偶然”をもっと別の人に生かしたい。
時間にゆとりが有る訳ではないが、上野で散策ついでに何か小腹に入れておこうとDilaをうろつく。
さすがに「北の玄関口」とも言われるだけあって、人が多い。
何が食べたいなんて決まっていないが、人の流れと共にこうして散策していると、美味しそうなものを見つける時がある。
おむすび専門店が目に入り、フッと足を止めて何を食べようか眺めていると、不意に左手を後ろに引っぱられた。
「宇都宮」
呼ばれて振り返ると、深緑色が目の前に広がった。
目線を上げると、そこには“偶然”でも見かけることがない人が立っていることに驚く。
「…東海道…上官…」
半信半疑と言うよりも何故ここにいるのかまったく理解できず、瞬きをしても
間違いなく、そこに立っているのは“偶然”を願った相手だったことに心底驚いた。
「何故ここに?」
「ただ山形においしいサクランボがあるからと言われて来てみたら、偶然にも宇都宮が見えたから声をかけたまでだ。」
「偶然…ですか…」
たとえそれが仕組まれた偶然であっても宇都宮にとっては望んだ“偶然”に違いなく、
ただ嬉しく思う。
ただ管理人がサクランボが食べたいってことで思いついた話なのでしたw